働き方改革において企業がするべき対応や対策とは?
近年の働き方改革関連法の動向を受けて、対応を余儀なくされている企業も少なくないでしょう。また、具体的にどのような対応をとるべきか分からない企業もあるかと思います。
このページでは、働き方改革とは何か、その内容と、企業がするべき対応・対策について、ご説明します。
◆働き方改革とは
日本は少子高齢化が深刻であり、労働力不足に直面しています。労働力不足は、国全体の生産力の低下、国力の低下をもたらします。そこで、これらを解消するべく、掲げられたのが、「働き方改革」です。
長時間労働が広く行われている日本においては、ワークライフバランスが壊れやすく、これを理由に労働市場から去っていく人も少なくありません。また、出産・育児のために市場から離脱した女性が市場に戻りやすい労働環境を整備することも重要となります。
そこで、働き方改革には以下の三つの柱が掲げられています。
1.長時間労働の是正
ワークライフバランスの維持が、労働力の維持に必要です。人材採用を促し、定着率を高めるために必須の柱といえます。
2.正規・非正規の格差是正
働き方のニーズが多様化するなかで、正規・非正規で格差が生じることは、非正規労働者が働くうえで障害となります。
「非正規」という枠自体を撤廃し、自分に合った働き方を認めることが必要といえます。
3.多様な働き方を実現する環境の整備
働き方の選択肢を増やし、多様な働き方を認めることが大切といえます。
以下、これらの柱の下どのような関連法が成立したか、それを踏まえて企業がいかなる対応をするべきかご説明します。
◆働き改革の内容
・時間外労働の上限規制
・月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金の引上げ
・労働時間の客観的把握と、労働時間の記録の保存
・年5日以上の年次有給休暇の取得義務
・フレックスタイム制の清算期間の延長
・高度プロフェッショナル制度の創設
・勤務時間インターバル制度の創設
・産業医・産業保健機能の強化
・同一労働・同一賃金
・労働者に対する労働条件の説明義務
◆企業の対応・対策
・労働者の勤怠状況・労働時間の適切な管理
長時間労働対策が重要となる働き方改革においては、労働者の勤怠管理・労働時間の管理が重要となります。
企業は、労働時間をタイムカードの記録・電子計算機の使用時間の記録等、客観的な方法によって適切に把握し、それを3年間保存する必要があります。
また、時間外労働規制に違反した場合、罰則が設けられているため、時間外労働時間を管理することはもちろん、ノー残業デーを設けるなどして、時間外労働自体を削減することが必要となります。
・多様な人材を採用・働きやすい環境の整備
人材不足に悩む企業においては、テレワークの導入や、柔軟な出退勤時間の導入により、
労働場所・時間について多様な人材が働きやすい環境を作ることが、重要になります。
多様な働き方を許容できる環境づくりは、例えば、出産・育児や介護等での離職を減らし、復職を促し、人手不足やこれに伴う長時間労働の常習化を防止します。
・年次有給休暇の徹底
年次有給休暇を年に5回以上活用することを徹底するために、年次有給休暇を適切に管理できる体制を作ること、労働者に有休を使うようを周知することが重要となります。
・就業規則の改訂
例えば、同一労働・同一賃金の原則の対象は、基本給以外に、賞与も含まれます。特に、有期期間労働者と無期雇用労働者の待遇に不合理な差を設けないよう、就業規則等を改訂する必要があります。
そのほか、働き方改革の動向をうけて、就業規則の見直しが求められます。
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