【弁護士が解説】電子契約導入のメリットや注意点
現在のリーガルテック市場で最も活用されているのが、「電子契約」です。
このページでは、現在のリモートワークが浸透する日本で注目されるリーガルテックとは何か、リーガルテックで提供されるサービスには、「電子契約」「契約書管理」「契約書レビュー」があるところ、そのうち特に浸透している電子契約とは何か、メリットと注意点をご説明します。
◇リーガルテックとは
リーガルテック(Legal Tech)とは、法律(Legal)と技術(Technology)を組み合わせた言葉です。
既存の法律分野にテクノロジー・ITを組み合わせることで、法務業務の効率化をはかる、法務サービス・システムのことをいいます。
その背景には、新型コロナウイルスの蔓延によるリモートワークの導入などの働き方が多様化や人材不足・ペーパーレス化・働き方改革による業務の効率化の要請があります。
◇電子契約とは
電子契約とは、従来書面で行われていた契約書の作成と契約をインターネット上で行うことをいいます。
書類を電子データで保存することや、電子署名に従来の手書きの署名と同様の効力を持たせることが認められ、書面の契約書と同様の効力が、電子契約書に認められました。
タイムスタンプにより電子契約書が作成された時間を証明することができるため、データの改ざんを防ぐことができます。
2020年3月時点で日本1のシェア率を誇るサービスは、弁護士ドットコム株式会社が運営するクラウドサインです。世界1のシェア率を誇るのは、アメリカに本社がある、DocuSign Inc.の提供するサービスです。
◇電子契約導入のメリット
電子契約導入のメリットは以下の点にあります。
・契約締結に至るスピードの向上
・経費の削減
・契約書の管理・検索が容易
・インターネット上で完結できる
・法令遵守の徹底
・契約締結に至るスピードの向上
契約書の作成については、定型文の活用などによって、生産性が向上します。また、書面では必要とされる、取引先に届けるまでのタイムラグや、印刷、ホチキス止め、封筒に封入、などの手続が不要となり、時間がかかりません。受け取りや、押印、レビューのために出社する必要もなく、手間もかかりません。
インターネット上で完結するため、作業の負担が減り、スピードが向上します。
・経費の削減
上述のように、印刷や郵送が不要となるため、紙の契約書の作成に比べ、経費が掛かりません。事務作業の減少は、人件費の削減にもつながります。
契約書の管理に場所や収納を要しないため、オフィスのスペースを確保でき、収納具の費用も削減できます。
・契約書の管理・検索が容易
電子契約書は電子データとして保存されるため、場所をとることなくコンパクトに保存・管理することができます。
また、契約書を探す際にも、書面と異なり、検索を用いてスムーズに行うことが可能となります。
契約情報の管理・検索が容易になるため、作業効率が上昇します。
・法令遵守の徹底
電子契約書を変更する場合、変更履歴が残るなど、システム上の機能で不正をチェックすることができます。これにより、改ざんの危険が減少します。
また、紛失がないため、情報漏洩の危険も低く、管理体制を強化できます。
◇電子契約の注意点
電子契約の導入は上記のように、契約の締結に関し、書面での契約と異なるフェーズを踏むことになります。
そのため、会社内での電子契約に関する説明や、理解、業務フローの改訂が悲痛用となります。
また、取引先にも、電子契約を理解してもらう必要があります。
最後に、電子契約書で作成できない契約書も存在します。例えば、クーリングオフに関わる契約書がこれにあたります。
電子契約を利用できない契約があることの把握が必要となります。
坂・畠山法律事務所は、企業法務を中心として、民事商事をはじめとする法律問題全般を取扱分野としております。
お客さまの満足のため、誠実・適切・迅速な法的サービスの提供を心掛け、幅広いネットワークを活用し、お客さまのニーズにお答えしていきます。
電子契約の導入に関して、そのほか広く法律問題にお困りの方はお気軽にご相談ください。